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100万人単位で考えると携帯電話を買うからには、ほとんどの人は携帯できて通話できることを当たり前に期待しているわけですね。
これに加えて、現在ではメール機能やインターネットに接続できる機能も基本要求に分類されるでしょう。
当たり前品質と魅力的品質魅力的品質図2に示したように変動要求と潜在要求からなります。
変動要求とは、この要求を満たすことで顧客の評価が上がり、満たすことができなければ評価が下がるようなものです。
2つの製品のどちらを買うか迷ったときに、決め手となる機能や特性だと考えると分かりやすいでしょう。
携帯電話であれば、他の製品よりもかっこいいデザインや音楽をダウンロードできる機能がこれに相当します。
また、メモリ容量やカメラの画素数が大きいことも変動要求に属します。
潜在要求を満たすものは、私たちがなんとなく「あったらいいな」と思うものの、いまだに製品によって実現していない機能や特性です。
携帯電話であれば、パスポートの代わりを果たす機能や、一見するとバッヂにしか見えないようなデザインなどは現在携帯電話を使う人にとって潜在要求なのかもしれません。
「当たり前品質と魅力的品質は分かりました。
でも、それがなぜテストと関係があるのですか?」それは、21ページで紹介したように、テストエンジニアの使命は、「開発者と共に品質を高める」ことだからです。
すみません、これだけでは抽象的ですね。
もう少し具体的に話を進めましょう。
例えば、顧客の潜在要求を満たそうと思い、腕時計サイズの携帯電話を開発しているとしましょう。
開発者はこの画期的なアイディアに熱くなって、全ての機能を腕時計サイズに収めようと工夫します。
そして新しい挑戦にワクワクしながら、開発を進めることでしょう。
しかし、テストエンジニアは各機能の検証を進めると同時に、妥当性評価を行う必要があるわけです。
当たり前品質と魅力的品質の分類に照らし合わせながら、「これでいいのだろうか」と考えなくてはなりません。
腕時計サイズにしたおかげで世界最小の携帯電話が誕生しそうだ。
しかし、メールを送受信するとなると…画面に映し出されるのはたったの5文字!これでは普通の長さのメールを1通読むのにかなりの労力を要してしまう。
つまりこの画期的な新製品は潜在要求を満たしていながら、基本要求を満たしていないわけです。
決定的な不具合として指摘しなくてはならないのです。
もちろん開発者の人々がこんな基本的なことに気づかないことは現実にはありません。
従ってこれは極端な例ですが、テストエンジニアは開発者以上に常に顧客の視点に立ちながら、開発された機能や特性を分類しておくことが求められるのです。
そのためには、検証と妥当性評価、そして当たり前品質と魅力的品質の2つの視点から見る力を日ごろから養っておくとよいでしょう。
そうすることで、ただ検証をするだけの人から一回りも二回りも成長できるでしょう。
前述したような製品のリコールや人命に関わるような事故を未然に防ぐことだけでなく、積極的に製品の品質を高めることによって豊かで安全なIT社会を根底から支える、このような大きな使命がテストエンジニアには与えられているのです。
次章以降で解説する、ソフトウエアテストの概要と様々なテスト技法を習得して、立派なテストエンジニアとして活躍してください! ソフトウェアテストにおいて、テスト対象の機能仕様を理解することは重要です。
ですから、私たちもテストのはじめには必ず機能仕様を理解する時間を設けています。
これを続けていくとどんなことになるのでしょうか。
Aさんのお話です。
Aさんはテスト現場に初めて入ったころは、機能仕様のことはまるで分からず、開発担当者に繰り返し質問していました。
しかし1年も経つころには、テスト対象の機能仕様をほぼ理解したため、質問回数も減ってきました。
そして3年を過ぎたころには、逆に開発担当者から機能仕様について質問されるようになりました。
これは、開発担当者は入れ替わりが激しく、まったく機能仕様を知らない状態で開発担当に着任する場合が多いためです。
逆に社外から派遣されてテストをする人は、異動も少なく、気が付けば開発担当者よりも仕様に詳しくなることがあります。
仕様に詳しい人は、テスト担当者ということは珍しくありません。
第1章では「開発者とともに品質を高める」というテストエンジニアの使命を解説しました。
本章では具体的な開発工程の流れと、その中におけるソフトウエアテストの流れを見ていきましょう。
開発全体の流れ開発の流れの基本形は、図1のように「要求定義」から始まり、「基本設計」「詳細設計」「実装」の順に進んでいきます。
まるで滝から水が流れ落ちるように順番に一つずつ開発のステップを実施していくことから「ウオーターフォールモデル」と呼ばれるスタンダードな進め方です。
「要求定義?実装?なんか難しそうな話ですね…。」確かに、馴染みがないとこういう語句は外国語のように感じますね。
でも、ご安心ください。
難しい話ではありません。
テストは開発工程の様々な段階で登場するので、開発工程の概要だけでも理解しておくと分かりやすくなります。
それぞれの段階(フェーズ)を例とともに解説していきます。
製品の企画担当者からの要求を、ソフトウエアに反映させるために、分かりやすく定義することです。
システム的にどのようなことが実現できれば目標達成となるかを洗い出していきます。
新世代の携帯電話を作る会社を想像してください。
新製品を検討するミーティングにおいて、製品を企画する部署からソフトウエア開発チームに次のような要求がありました。
次の新製品は、恋人同士がペアで持ちたくなる機能を満載したいと思っています。
デザインもペアで購入することを前提として、価格もペア割引を前面に押し出す予定です。
彼女の名前を電話に対してささやいた瞬間に、仕事の時間帯なら彼女へのメールを送る画面になり、それ以外なら彼女へ電話がかかります。
さらに、我々企画チームが目玉と考えている機能ですが、お互いが偶然に近くを歩いていたら携帯電話にハートマークが画面にハートマークが出たら周りをきょろきょろしたりして…それから、距離が近くなるとハートマークが大きくなるとか。
」このように一見無茶と思える企画チームからの要求を、開発チームの担当者は質問を繰り返したうえで、次のように定義します。
・相手の名前をささやくことによって、時間帯に応じてメール画面、通話画面のいずれかが立ち上がる。
・相手が近くにいると画面にハートマークを表示する。
・ハートマークは距離に応じて3段階にサイズが変わる。
このように、感覚的に伝えられた要求を誤解のないように定義していきます。
基本設計要求定義で決定された機能を実現するために、大まかなシステムの流れを決定します。
ここで設計するのはユーザーやほかのシステムから「見える」部分の設計です。
たとえば、どの機種に『近くでハッピー』機能を搭載するのか、どのような形や大きさのハートにするのかなど、要求定義よりも詳細に実現するための手段を決定していきます。
「外部設計」や「概要設計」とも呼ばれています。
ここで、システム全体の設計図と機能仕様書が作られます。
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